新型コロナウイルス感染拡大により世界中の経済活動が落ち込む中、国や地方自治体は「補助金」や「助成金」などを使って事業者を支援しています。
最近よく名前を聞く有名なものとしては、「持続化給付金」や「家賃支援給付金」、「雇用調整助成金」などですね。
その他にも従来からある「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」「IT導入支援補助金」が注目されています。
最近はこの補助金についてのご依頼・ご相談が多いので、よくある「危険な誤解」をご紹介いたします。
危険な誤解① 補助金の目的を確認していない
補助金を申請する際は、その補助金が「何のために」募集されているのかをまず知ることが重要です。
補助金ではありませんが、例えば「持続化給付金」の目的は「感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付します」とあります。
ここから、
・新型コロナウイルス感染症拡大の影響があること
※明確な記載はありませんが、コールセンターの回答を総合的にみると、コロナの影響の「度合い」は関係ないようです。判断に迷われた場合は必ずコールセンターへお問い合わせください。
・事業の継続が前提であること
・使用目的は問わないこと
が読み取れます。
逆にいうと、「コロナの影響がない」「事業継続する意思がない」場合は給付対象にならないということです。
この補助金の目的を見落とすと、形式的な数字上の要件だけで受給できるかどうか判定してしまい、下記のような不適切な受給につながることになります。
日本郵政HP:グループ社員による持続化給付金の不適切な申請および受給について
また、虚偽の内容や故意に操作した内容により受給する、なんてことは問題外ですね。
補助金は、実際の状況が補助金の受給要件に合致する場合に申請を検討することが本来あるべき姿なので、詐欺罪に問われることもある補助金の受給を目的とする不正は絶対にやめましょう!
危険な誤解② 交付決定前に事業を実施してしまう
これも補助金の交付要領などをちゃんと読んでいない(!)ために起こることですが、多くの補助金では「補助金の交付決定前にされた発注・契約・支出」は支給対象になりません!
(一部の補助金は一定の日以降の発注等を遡って認めていますが、これは例外とお考えください)
このことはほとんどの補助金の交付要領に明確に記載されていますので、必ず確認しましょう。
もしうっかり交付決定前に工事や契約を行ってしまった場合は、せっかく決定された補助金の交付についても、その後に行われる請求書や領収書、契約書が確認された時点で補助金の交付が減額されたり、取り消されることになります。
危険な誤解③ 補助金が交付された後のことを考えていない
補助金の交付を受けることができた場合でも、それでおしまい!とはなりません。
補助金の対象となった経費や資産の明細を一定期間保管することはもちろん、定期的な報告を行うことが一般的です。
特に補助金で取得した一定の資産は勝手に売却や除却、他の事業に使用することは原則としてできません。
通常は「5年以内に動かす場合は届出を行ってください」等の規定があるので、指示に従いましょう。
危険な誤解④ 補助金をあてにした資金計画を立てている
これもよくある誤解です。
計画は上手くできているのですが、最初の投資に補助金をあてることを前提とした計画をお聞きすることがあります。
融資と補助金を混同して考えてしまうのでしょうか?
事業のため資金を得るという目的は一緒ですが、融資は「入金があってから投資」という流れに対し、補助金は「投資してから入金」、つまり後払いが原則です!
先に払えるなら補助金なんて申請しないよ〜、という声が聞こえてきそうですが、補助金が入金されるまでの間の資金計画も申請時には求められるケースがほとんどなのでご注意ください。
手間のかかる補助金だが、利用できれば大きなアドバンテージが得られます
この他にもいろいろと気を付けるべき項目があり、手間のかかる「補助金」ですが、うまく利用すれば競合店が100万円の経費をかけて行う事業を33万円や25万円で実施することができます。
これって、もの凄いアドバンテージになると思いませんか?
でもこのアドバンテージを得るためには結構時間をかけて計画を立てる必要があります。
経営者の方は基本的にお忙しいので、なかなか補助金のスケジュールを把握しながら計画まで作成する余裕のない方も多いようです。
植田会計事務所では経営者の方に随時補助金情報をご提供し、スケジュールと計画の作成をサポートするサービスを行っています。
経理や税金の申告はご自身で行われますが、補助金のサポートのみご依頼いただいているケースもございますので、補助金についてご検討の方はぜひご相談ください。