個人事業主が申告前に注意すべきポイント~在庫の計上もれ~

在庫の計上もれにもご注意!

こんにちは!外注せずにご自身で経理を行いたい方をサポートする宝塚の会計事務所、「じぶんで経理」植田会計事務所です。

世間がクリスマスで賑わっているとき、違う理由で賑わっているのが会計事務所です。
今年の植田会計事務所も年末調整、個人事業主様や12月決算法人様の決算予想・対策その他諸々で慌ただしく過ごし、気付くとクリスマスも終了・・・。
子供へのクリスマスプレゼントがあるので何もしなかったわけではありませんが、今年はいつにも増して慌ただしかったように感じます。

さて、先日の投稿では年一回申告のみのお客様の「売上の計上もれにご注意!」という内容をお伝えしましたが、今回はもう一つの注意点「在庫による利益の増加」です。

売上-仕入+在庫=粗利益の関係

小規模企業、特に個人事業主の損益計算で多く見られるミスが「在庫の未計上」です。
なお、私の想像ですが、この在庫の未計上は「計上し忘れている」のではなく、そもそも「計上の必要性自体知らなかった」ことを原因として発生しているのではないでしょうか。

さて、細かい説明は省きますが、在庫が発生する事業では「売上-仕入+在庫=粗利益」という関係が成り立ちます。
事業開始2年目以降は「売上-仕入+(-前年在庫+当年在庫)=粗利益」となります。

たまたま年末に在庫がゼロになる可能性もありますが、卸売業や小売業で在庫がゼロというケースはほとんどありません。

つまり、在庫が発生する事業であるにもかかわらず「在庫をゼロ」として申告することは、「実際よりも利益を少なく申告しています」と宣言していることと同じなのです。

在庫となるものは商品だけではない

また、在庫となるものはいわゆる「商品」だけではありません。
製造業なら製品製造途中の「仕掛品」も同様に在庫となります。
この仕掛品には既に消費した原材料代も含める必要があります。

その原材料も未使用部分は「原材料」という在庫です。
10kg100万円の原材料が年末に5kg残っていれば、50万円を在庫として計上します。

さらに、商品や製品はそのままで売れるわけではありません。
販売するためにはラッピングや手提げ袋が必要でしょう。
製品を納品するためには運搬時の緩衝材や固定具が使われます。
こうした包材なども未使用分は在庫になるのです。

在庫の確認は目視が基本

このように説明しても「在庫の未計上なんて税務署から指摘されたことないけど?」という声が聞こえてきそうです。

しかし、それは税務調査を受けていないか、調査を受けていても何か別の理由により指摘されなかったに過ぎません。
原理原則で指摘されれば、在庫の未計上に反論の余地などないのです。

また、在庫を確認して売上原価、原価率や粗利率を把握することは事業を行う上でとても大切なことなので、税務調査とは関係なく、必ず確認してください。

そんな在庫の確認方法ですが、基本は「目視」です。
年内の在庫は帳簿上の数量、金額を差し引きする方法で把握しますが、年末は実際に目視して数えてみましょう。
おそらく、帳簿上の数量と合わないはずです。
その場合は実際の数量を使用して在庫を計上します。

税務調査がある場合は年末に行った在庫の確認記録が重要な資料となるので、どの商品や原材料がいくつ残っていたのか、必ず残すようにしておいてください。

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