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【79】 月次支援金 の受給資格喪失、やはり補足が入る

6/16より申請受付が開始された月次支援金ですが、皆さん4月分、5月分の申請は済まされたでしょうか?
4月分、5月分の申請期限は8/15までとなっておりますのでお早目の申請をお勧めします。

さて、前回【78】月次支援金はここが一時支援金と違いますでもお伝えしましたが、月次支援金にはいくつか注意しなければならない事項がありました。
特に「月次支援金で不給付となった場合は他の月や一時支援金の受給資格を失う」という項目は影響が大きすぎるため、何らかの説明が追加されるのでは・・・?とお伝えしていたのですが、やはり補足が入りましたね。

一時支援金を含む月次支援金の受給資格の喪失

まずは内容の確認からです。
皆さんが提出することになる月次支援金の宣誓・同意書の2つ目の項目を抜き出してみました。

赤い下線の部分をつなげて少々読みやすくすると、「月次支援金が給付されない月があった場合には、過去に給付を受けた全ての支援金(一時支援金含む)を返還してもらう場合もあるほか、まだ給付されていない月次支援金は給付されず、その後の月の月次支援金の申請も行うことができなくなる場合がある」となります。

不給付となる場合とは

それでは給付されない場合=「不給付」とは何かと調べてみると、給付規程第2章第25条(不給付要件)、第26条(審査)、第27条(月次支援金の給付・不給付)に不給付になるケースが記載されています。
注意が必要な部分を読んでみるとこうなります。

1.事務局が不備を指摘等したにもかかわらず、申請者が不備を直すための書類等を提出等しなかった場合

2.明らかに給付の要件を満たさないと事務局が判断した場合

まず、1.については、申請した人は事務局から不備の修正や追加資料の提出を求められた場合には必ず何らかの対応を行う必要があり、放っておくと不給付になってしまうことが分かります。

次に2.については、明らかに月次支援金が支給されない事業者であるにもかかわらず申請があった場合には不給付にします、ということです。

1.は仕方がありません。
申請したからには申請を自ら取り下げるか、不給付となるしかないからです。
事務局があれこれ不備の修正や追加資料を求めているのに何も対応しなければ、事務局としては不給付とせざるを得ません。
なので、事務局から連絡が入った場合は必ず適切に対応するようにしてください。

「とりあえず」で申請してはいけなかった?

問題は2.です。
「明らかに月次支援金が支給されない事業者」における「明らか」がどの程度なのか明確ではありません。
一時支援金の場合、事業者が支給対象となるのかどうか分からないときの事務局の対応は「とりあえず申請してみてください」でした。
とりあえず申請してみて、だめな場合は審査で不給付となるからというものです。

植田会計事務所も事務局の回答が常に「とりあえず申請してください」というスタンスだったため、支給対象になるのか判断できない場合は申請を勧めてきましたが、一時支援金でとりあえず申請して不給付となった場合、月次支援金は申請できないことになります。

また、月次支援金を申請して不給付となった場合、一時支援金まで返還することになるため、これまでのように「とりあえず」といった安易な気持ちでは申請できなくなりました。

このため、前回の投稿で、これはさすがにやり過ぎでは?何らかの補足説明が入るのでは?とコメントした次第です。

受給資格喪失に補足が入りましたが・・・?

すると、6/16に公表された支給規程では、受給資格の喪失について補足が入っていました。
第27条第二項第4号を読むと、「不給付となった場合にはその申請の悪質性又は給付要件を満たしていないことが明らかな度合いにより、給付を取り消すことができる」とされています。

単純に「不給付=受給資格喪失」とするのではなく、悪意のある申請や不誠実な対応、どう考えても給付対象になり得ない(制度の趣旨を理解していない)事業者かどうかなど申請の内容を考慮して、返還を求めると読めます。

不給付となったことで即返還、とはなりませんでしたが、個人的にはそれでも結構厳しいなぁ・・・というのが率直な感想です。
あくまで即返還が原則であることは変わっていないんですよね・・・(-_-;)

月次支援金の入力内容について、一時支援金に比べて月次支援金の申請は簡単になる、と聞いていたのですが、ふたを開けてみると全然簡単じゃない!と皆さんも感じられたのではないでしょうか?

ここで「どうせ不備があれば事務局から指摘が入るだろうから、とりあえず適当に入力して申請しておくか・・・」なんてことをしてしまうと、不給付の対象に入ってしまう可能性が高まってしまいます。
特に基本申請か簡単申請の選択や取引先情報の登録は、一時支援金とは異なる項目です。
必ず申請要領やよくある質問を熟読し、不安に思うことは事務局に確認してから申請するようにしましょう。

【78】月次支援金はここが一時支援金と違います

一時支援金の申請は5月末をもって終了(※1)しましたが、6月中旬(※2)からは月次支援金の申請受付が開始されます。
※1(2021.6.3一部内容を変更)申請に必要な書類の準備に時間を要するなど、申請期限に間に合わない合理的な理由がある場合は6/15(火)まで期限を延長することが可能ですが、5月末までに申請IDを取得し、延長の申し込みを行っている必要があります。
(2021.6.3追記)なお、一時支援金の事前確認は6/11(金)までとなります。
※2(2021.6.3追記)月次支援金の申請は6/16(水)より受付開始となる旨が発表されました。
経済産業省:月次支援金のHP

一時支援金は対象となる売上減少月が2021年1~3月でしたが、月次支援金は「2021年4月以降」となっています。

「以降」と期限が定められていないのは、緊急事態宣言が延長されることや4回目以降の宣言発令も見越してのことでしょうか?

月次支援金の受給要件は大体一時支援金と同様なのですが、変更されている点や注意すべき事項もありますので、今回はそのあたりを取り上げます。

 

1.給付額の上限額が変更されている

一時支援金では給付額の上限額は法人60万円、個人30万円でしたが、月次支援金では法人20万円個人10万円となります。

これは、一時支援金が3カ月間を対象としていたため、1カ月を対象とする月次支援金では給付額が1/3となるよう調整したものと思われます。

(法人)60万円÷3カ月=20万円 (個人)30万円÷3カ月=10万円

 

2.給付額の算定は前年又は前々年同月比の減少額だけで行う

一時支援金では給付額を

 2019年又は2020年1~3月の売上高合計-2021年対象月の売上高×3

という算式で計算していましたが、月次支援金では

 2019年又は2020年の対象月と同じ月の売上高-2021年対象月の売上高

とシンプルな算式になります。

非常に分かりやすいですが、月によっては給付額が上限額に達しないこともあると考えられます。

 

3.事前確認は一度だけ行えばよい

一時支援金と同様、月次支援金でも登録確認機関による事前確認が必要です。

事前確認は一度受けてしまえば再度受ける必要が無くなるため、例えば4月分の申請について事前確認を受けた事業者は5月分以降の申請は事前確認無しで申請することが可能です。

また、一時支援金で事前確認を受けた事業者は月次支援金で改めて事前確認を受ける必要がありません。

 

4.不給付等となった場合は対象月以外の月も受給資格が無くなる

ある対象月分の一時支援金又は月次支援金で「無資格受給又は不正受給を行った者」や「不給付となった者」については、同対象月及びその他対象月において、月次支援金の申請・受給を行う資格はありません

申請・受給を行う資格がないため、受給前の申請については不給付となり、受給済みの申請については受給額を返還いただきます。
また、一時支援金の受給資格も同様にありません

これは月次支援金の詳細に記載された「給付対象外の例」ですが、今後追加説明が加えられるのでしょうか?

無資格受給や不正受給を行った者が申請・受給資格を失うことは分かりますが、不給付になった者が不給付となった対象月だけでなく、その他の月についても資格を失うというのはやり過ぎでは・・・?

また、説明をそのまま読むと、遡及して一時支援金の受給資格まで失うことになります。

つまり、
①4月分の申請で不給付 → 4月分は給付されず、一時支援金も返還
②6月分の申請で不給付 → 6月分は給付されず、4~5月分+一時支援金も返還
ということに・・・(-_-;)キビシイ…

 

5.事業の継続・立て直しに向けた取り組みを宣誓する必要がある

月次支援金では申請にあたって、事業の継続・立て直しに向けた取り組みを行うことを宣誓する必要があります。


宣誓する具体的取り組みについてのアンケートも用意されており、自社が行う取り組みを選ぶ形式になるようです。

この取り組みを行わなかった場合のペナルティについては給付規程が公表されていないため不明ですが、一時支援金の趣旨が「売上が減少した皆様に、一時支援金を給付いたします」だったのに対し、月次支援金では「売上が減少した皆様に月次支援金を給付し、事業の継続・立て直しやそのための取組を支援しますとなっていることから、何も取り組みを行わないことは月次支援金の趣旨に反すると考えられます。

【77】一時支援金 「外出自粛等の影響を受けている事業者」の判断について

【重要】一時支援金の申請について、支給対象になるかどうかは必ず事務局に問い合わせる等して、ご自身の判断により行ってください。下記の投稿記事は弊所の考えを述べているものであり、確定したものではありません。

2021年1月の緊急事態宣言の影響により売上が減少した事業者に対して支給される 一時支援金 について、申請期限(5/31)が迫っていますが、給付対象をめぐっては色々な情報が飛び交っているようです。

飲食店だと自らが支給対象か判断しやすいのですが、もう一方の対象である「外出自粛等の影響を受けている事業者」の判断が難しい・・・。

前回の投稿 【76】中小法人等のための「一時支援金」事前確認について 以来事前確認のご依頼も多いのですが、その中でもご質問が多い、外出自粛等の影響を受けている事業者について取り上げます。

1.消費者との直接取引だけでなく、間接取引の事業者も対象になる

消費者(個人)と直接取引している事業者でないと対象にならないと思いこんでいて、申請しないつもりだった方もいました。

消費者←事業者

という取引の流れだけでなく、

消費者←事業者1←事業者2

のような、消費者に商品・サービスを提供している事業者1に商品・サービスを提供する事業者2も対象です。

2.事業者の所在地が緊急事態宣言地域にある必要はない

また、消費者が緊急事態宣言地域に所在していることが前提なので、事業者が緊急事態宣言の地域外に所在していても対象となり得ます。

例えば、

・消費者(大阪府)
・事業者(奈良県)

という場合ですね。

この場合は大阪府の消費者と継続して取引していることが分かる顧客台帳等が必要になります。

3.消費者は緊急事態宣言地域の人である必要がある

逆に、いくら事業者が緊急事態宣言地域に所在していても、消費者が緊急事態宣言の地域外の人である場合は対象となりません。

例えば、

・消費者(奈良県)
・事業者(大阪府)

という場合です。

判断が難しいのが、

消費者←事業者1←事業者2

という取引の流れで、

・消費者(奈良県)
・事業者1(大阪府)
・事業者2(兵庫県)

という場合に事業者2が対象となるのかどうかです。

経済産業省のHPに記載されている「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細について」(事前確認の際、必ずよく読んでおくように言われるアレです)を見る限りは対象とならないように読めるのですが、心情的には事業者2が得意先である事業者1に「おたくの商売の顧客は大阪府の個人がほとんどですか?それとも奈良県や他の都道府県ですか?」なんて聞きにくいので、事業者2が判断できないケースも出てくるのでは・・・?


※「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細について」より
この図から判断すると、すべての取引の最終消費者は宣言地域内にいる必要がありますよね・・・?

【2021.5.28追記】
上記の件について事務局に確認したところ、事業者2は事業者1が宣言地域内にあれば対象になるとのことでした。
ただし、事業者1の販売先である消費者は宣言地域内の個人顧客である必要があります。

【2021.5.28追記】
また、オンラインショップなど通販による売上がメインの場合は、二段階の判定を行います。
①通販による売上の減少が、宣言地域内の消費者だけで50%以上であること
かつ
②事業全体の対象月の売上が前年同月比で50%以上減少していること

※通販なのに宣言の影響を受けて売上が減少するのか?という疑問もあるようですが、例えば扱うアイテムが化粧品だった場合、化粧品は外出自粛により売上が減少しています。
通販だからといって宣言の影響を受けないことはありません。

ちなみに、インバウンド事業者はどうでしょうか?
インバウンドなので消費者は海外からやってくる旅行者です。
海外からやってくる旅行者は全員、緊急事態宣言地域の外にいる人たちであるため、売上の減少要因がインバウンド事業の不振による場合は、やはり対象になりません。
※事務局もインバウンド業者が多数申請していることは把握しているそうですが・・・、後々問題になるのでしょうか?(^_^;)

4.建設業は対象にならない?

建設業は他の業種と異なり、受注してから完成・引渡しまで一定の期間を要することが多い業種です。

そのため緊急事態宣言の影響が即座に出るわけではなく、2021年1月に出た宣言の影響は数カ月~1年後に出ることになります。

そうすると対象にならないのでは?とも考えられますが、2021年1~3月に完成・引渡しを行うはずが、宣言の影響で完成が遅れて引渡しが4月以降にずれた場合などは対象になり得るはずです。

5.2020年からずっと休業中・売上減少の場合は?

2021年1月の緊急事態宣言ではなく、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大からずっと休業中、または、売上が減少している事業者も多いと思います。
特に旅行業の方ですね。

この場合も、厳密に言うと売上の減少は2021年1月の緊急事態宣言の影響というよりは、「コロナの影響が続いているため」といった方が正しいため、対象にならないと考える方もいるようです。

しかし、この場合は個人的な意見になりますが、対象となるはずです。
大本の影響はコロナですが、コロナによって緊急事態宣言が発令され、外出が自粛等されることにより「引き続き」売上が減少していると考えられるからです。

最後に 自分が対象かどうか分からない場合は?

世の中には様々な事業が存在するため、一概に「この業種はだめ」とは言えません。
※対象外と明記している業種はありますが・・・。

植田会計事務所でも「この企業は対象になるのか?」と悩むケースは少なくありません。
対象となるかどうか、売上がどのように発生しているのか調べてみて、明らかに緊急事態宣言の影響を受けていない場合は申請すると不正受給になってしまうためそのように説明しますが、判断が難しい場合は「とりあえず申請」することをお勧めしております。

費用はかかったとしても、申請しなければ「本来受給できたはずなのに自ら権利を放棄してしまった」ことになりかねません。

いくつかのケースで事務局へ問い合わせを行っていますが、事務局の回答も「迷ったらとりあえず申請してください」となることが多いです。
※事務局の方針を確認したわけではありません。

実は、上記で対象外としたインバウンド「も」やっている事業者や建設業の事業者のケースでも、少しでも「対象になるのではないか?」と引っかかる場合はとりあえず申請しているケースがあります。

緊急事態宣言の影響を受けていないことが明らかなのに「受けている」と偽ったり、帳簿等を偽造等したりしない限り、「やましい気持ちがない」のであれば申請をためらう必要はないでしょう。
※それでも受給資格が無いと事務局から判定された場合は、申請を取り止め、または、受給した支援金を返還する必要があります。

迷った場合は、事業者はありのままの実態で申請を行い、受給の可否は事務局の審査に任せるべきでしょう。

【76】中小法人等のための「一時支援金」事前確認について

現在、中小法人・個人事業者のための一時支援金(この記事では以下「一時支援金」といいます)の申請受付が開始されておりますが、植田会計事務所は一時支援金の登録確認機関となりましたので、申請される方の事前確認を行っております。
※登録確認機関は、宣誓内容が正しいかなど、申請希望者が給付対象であるかの判断・確認は行いませんので予めご了承ください。
※給付対象に関するお問い合わせは一時支援金事務局の相談窓口までお問い合わせください。
一時支援金事務局HP(トップページをスクロールしていくと末尾に相談窓口の電話番号が記載されています):https://ichijishienkin.go.jp/

趣旨と要件をよくご確認ください

今回の一時支援金は、①2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う②「飲食店の時短営業」または③「不要不急の外出・移動の自粛」により、特に大きな影響を受け、④売上が大きく減少している中小法人及び個人事業者に対して、緊急事態宣言の影響が特に大きい⑤2021年1月から3月までの期間における影響を緩和して、⑥事業の継続を支援するために給付することを目的としています。

申請を検討される方は経済産業省のHPに掲載されている「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細について」と「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細についての補足Q&A」を必ず読んで今回の一時支援金の趣旨をご理解いただき、ご自身が給付の要件に該当するかご検討ください。
※経済産業省HP:緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細について緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細についての補足Q&A

事前確認は身近な登録確認機関が推奨されています

登録確認機関となっている税理士事務所のお客様、商工会議所などの会員、銀行などからの事業性融資等借入をされている方であれば、事前確認の項目のうち帳簿書類等の確認が省略でき、電話での質疑応答のみでの対応が可能です。

そのため、一時支援金事務局では身近な登録確認機関に事前確認を依頼することを推奨していますので、まずはそちらをご検討ください。

植田会計事務所での事前確認について

植田会計事務所では申告をご依頼いただいているお客様以外からもご要望があれば事前確認を行いますが、事前確認の手数料として1件11,000円(消費税込)を請求させていただきます。

この手数料は事前確認通知番号を発行した場合、一時支援金を受給できるかどうかにかかわらず請求させていただくものなので、予めご了承ください。
事前通知番号発行後、7日以内に銀行振込の方法によりお支払いください。
※国からの事務手数料は辞退する方針です。

事前確認をご希望の場合は植田会計事務所まで「一時支援金の事前確認」ご依頼の旨を記載されたメールをお送りください。
植田会計事務所メールアドレス:ueda@uedatax.com
追って事前確認の日程等についてご連絡差し上げます。

なお、事前確認の方法は

①ZOOM等を使用したTV会議
②来所していただいて面談

のいずれかの方法とさせていただきます。

【75】持続化給付金を受け取った人は確定申告しなければならない?

コロナ禍において事業などが困窮し、国から持続化給付金や家賃支援給付金を受け取られた方が多くおられます。
また、持続化給付金を受け取られた方は他にも県や市などから「給付金」「補助金」「支援金」といった名目のお金を受け取られている方が多いようです。

現在、2020年(令和2年)分の確定申告期間ですが、2020年中に持続化給付金など上記のようなお金を受け取られた方は必ず確定申告をする必要があるのでしょうか?

確定申告する必要があるわけではない

結論から述べると、必ず確定申告をする必要があるわけではありません。

確定申告をする必要がある方は、収入から経費を引いた残りである「所得金額」から、さらに健康保険料や基礎控除などの各種所得控除を引いてもなお余りである「課税所得」が出る場合です。
※正しくは課税所得があってもさらに配当控除を引いて税額が残る場合ですが、今回は割愛します。
国税庁HP:確定申告が必要な方

そのため、
・事業が赤字
・事業は黒字だが所得控除を引くと所得金額がゼロになる
場合は確定申告の必要がありません。

ただし、収入には含めて計算する必要がある

そして持続化給付金ですが、この事業の収入に含めて計算します。
そして持続化給付金や家賃支援給付金、兵庫県の事業再開支援金、宝塚市や伊丹市の事業所等賃料補助金、神戸市の中小企業チャレンジ支援補助金などもこの事業の収入に含めて計算します。

事業の収入に含めて計算し、そこから経費を引いて赤字である場合、または、所得控除を引いて所得金額がゼロとなる場合は確定申告の必要が無くなるのです。

もっとも、相談会などで2020年分の確定申告を拝見していると、本業の売上は減少しているのに持続化給付金などを受け取っているため、収入の総額は2019年よりも増加している方が結構いらっしゃいました(^_^;)

事業所得を基に受給された方は「雑収入」の項目に給付金などを計上し、「本年中における特殊事情」の欄に「雑収入のうち100万円は持続化給付金、120万円は家賃支援給付金・・・」などと記載しておくと税務署の心証も良くなるかもしれません。

計上するタイミングは支給が確定した日

なお、計上するタイミングは支給が確定した日(支給日の通知が無く、振り込みのみ場合は振込日)になります。
※2020年中に支給が確定した場合は2020年分の収入に計上し、2021年中に支給が確定した場合は2021年中の収入に計上します。来年も注意が必要ですね。

持続化給付金などはコロナの影響で困窮する事業者を支援する目的で支給された、税金を源とするお金です。
支給を受けたことで赤字を免れたならば、余った部分には税金を通じて国に戻すべきでしょう。
くれぐれも収入に計上することを忘れないようご注意ください。

【71】補助金に対する危険な誤解

 新型コロナウイルス感染拡大により世界中の経済活動が落ち込む中、国や地方自治体は「補助金」や「助成金」などを使って事業者を支援しています。

 最近よく名前を聞く有名なものとしては、「持続化給付金」や「家賃支援給付金」、「雇用調整助成金」などですね。

 その他にも従来からある「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」「IT導入支援補助金」が注目されています。

 最近はこの補助金についてのご依頼・ご相談が多いので、よくある「危険な誤解」をご紹介いたします。

危険な誤解① 補助金の目的を確認していない

補助金を申請する際は、その補助金が「何のために」募集されているのかをまず知ることが重要です。

 補助金ではありませんが、例えば「持続化給付金」の目的は「感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付します」とあります。

 ここから、
 ・新型コロナウイルス感染症拡大の影響があること
  ※明確な記載はありませんが、コールセンターの回答を総合的にみると、コロナの影響の「度合い」は関係ないようです。判断に迷われた場合は必ずコールセンターへお問い合わせください。
 ・事業の継続が前提であること
 ・使用目的は問わないこと
 が読み取れます。

 逆にいうと、「コロナの影響がない」「事業継続する意思がない」場合は給付対象にならないということです。

 この補助金の目的を見落とすと、形式的な数字上の要件だけで受給できるかどうか判定してしまい、下記のような不適切な受給につながることになります。
 日本郵政HP:グループ社員による持続化給付金の不適切な申請および受給について

 また、虚偽の内容や故意に操作した内容により受給する、なんてことは問題外ですね。
 補助金は、実際の状況が補助金の受給要件に合致する場合に申請を検討することが本来あるべき姿なので、詐欺罪に問われることもある補助金の受給を目的とする不正は絶対にやめましょう!

危険な誤解② 交付決定前に事業を実施してしまう

 これも補助金の交付要領などをちゃんと読んでいない(!)ために起こることですが、多くの補助金では「補助金の交付決定にされた発注・契約・支出」は支給対象になりません!
(一部の補助金は一定の日以降の発注等を遡って認めていますが、これは例外とお考えください)

 このことはほとんどの補助金の交付要領に明確に記載されていますので、必ず確認しましょう。

 もしうっかり交付決定前に工事や契約を行ってしまった場合は、せっかく決定された補助金の交付についても、その後に行われる請求書や領収書、契約書が確認された時点で補助金の交付が減額されたり、取り消されることになります。

危険な誤解③  補助金が交付された後のことを考えていない

補助金の交付を受けることができた場合でも、それでおしまい!とはなりません。

補助金の対象となった経費や資産の明細を一定期間保管することはもちろん、定期的な報告を行うことが一般的です。

特に補助金で取得した一定の資産は勝手に売却や除却、他の事業に使用することは原則としてできません。

通常は「5年以内に動かす場合は届出を行ってください」等の規定があるので、指示に従いましょう。

危険な誤解④  補助金をあてにした資金計画を立てている

これもよくある誤解です。

計画は上手くできているのですが、最初の投資に補助金をあてることを前提とした計画をお聞きすることがあります。

融資と補助金を混同して考えてしまうのでしょうか?

事業のため資金を得るという目的は一緒ですが、融資は「入金があってから投資」という流れに対し、補助金は「投資してから入金」、つまり後払いが原則です!

先に払えるなら補助金なんて申請しないよ〜、という声が聞こえてきそうですが、補助金が入金されるまでの間の資金計画も申請時には求められるケースがほとんどなのでご注意ください。

手間のかかる補助金だが、利用できれば大きなアドバンテージが得られます

この他にもいろいろと気を付けるべき項目があり、手間のかかる「補助金」ですが、うまく利用すれば競合店が100万円の経費をかけて行う事業を33万円や25万円で実施することができます

これって、もの凄いアドバンテージになると思いませんか?

でもこのアドバンテージを得るためには結構時間をかけて計画を立てる必要があります。

経営者の方は基本的にお忙しいので、なかなか補助金のスケジュールを把握しながら計画まで作成する余裕のない方も多いようです。

植田会計事務所では経営者の方に随時補助金情報をご提供し、スケジュールと計画の作成をサポートするサービスを行っています。

経理や税金の申告はご自身で行われますが、補助金のサポートのみご依頼いただいているケースもございますので、補助金についてご検討の方はぜひご相談ください。

【70】税金を払う側からもらう側へ

コロナが与える経済への深刻なダメージ・・・

新型コロナウイルスの影響により世界中の経済が大打撃を受けています。

日本も例外ではなく、経済へのダメージは「観光業、飲食業、宿泊業への第一波」に続いて「それ以外の業種への第二波」が始まっているように感じます。

4月中までほとんど売上に影響が無いと語っていたお客様から、今月に入って「持続化給付金(売上が前年同月比50%以上減少した際に申請できる)」のサポートを依頼されたときは本当に空恐ろしくなりました・・・。

結構役立っている?持続化給付金

その持続化給付金ですが、受託した法人がどうこうとかいろいろマスコミに取り上げられているものの、個人的には売上が減少して苦しんでいる企業を支えることに結構役立っていると感じています。

特に従業員5人以下の小規模零細企業にとってはかなりありがたい措置だったのではないでしょうか?

普段税金を払う側の企業が税金を原資とするお金をもらうわけなのに、あんなザルのような要件のみで良いのか不安になりますが・・・。

それだけまずは「支給する」ことを目的に、手続きを簡素化したということなんでしょうけどね?

給付金は課税対象であることをお忘れなく

いずれにしろ、受け取った給付金は法人税・所得税の課税対象なのでばっちり「所得に算入されているか」「受け取った企業は申告しているか」を調査でチェックされることでしょう。

本当にしんどい企業は費用と相殺されて課税されないでしょうし、回復した企業はその分利益が出るので課税されて税金で回収。

売上の計上日を操作等して不正受給した企業は・・・、言うまでもありませんね~(ーー;)

補助金というアドバンテージ

今回のコロナの件で改めて感じたことは「国や自治体からもらえるお金は結構ある」ということです。

代表的な持続化給付金もそうですが、休業した際の支援金や家賃の補助金。

国だけでなく、都道府県独自、市独自のものも結構あります。
(調べるのが大変ですが・・・(^_^;) )

持続給付金などと比べると申請のハードルは上がりますが、コロナ以前からある小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金など。

補助金以外にも、雇用調整助成金といった助成金ももらえるお金ですね。

何でもかんでももらえば良いというものではないでしょうし、補助金をもらうことを目的にすることは間違いでしょうが、自社の方向性と合うようでしたら補助金については必ず考えてみるべきでしょう。

補助金を申請するということは自社が行おうとする事業について深く考察することになりますし、その結果補助金が入れば事業遂行が一段と楽になります。

植田会計事務所でも今後はより一層補助金等「もらえるお金」の情報をお客様へ提供していく方針です。

そして申請や申請後の煩雑な作業も一緒にサポートさせていただきます!

「もらえるお金」補助金や給付金にについてはぜひ植田会計事務所までご相談ください。

【69】新型コロナウイルス感染症関連支援策一覧【2020/5/31時点】

【2020/6/17更新】
必ず申請先の行政のリンク先を確認してください。対象や要件は頻繁に変更が行われています!

新型コロナウイルス感染症関連の支援策で、事業者が必ず対象かどうか確認すべき給付金・補助金の一覧です。
期限が短いものも多いので、申請は早めに行ってください。
主に個人事業主や従業員数5名以下の小規模企業を対象としたものを中心にまとめています。

国【持続化給付金】
 対象 中小法人等、個人事業主
 業種 すべて
 種類 給付金支給
 金額 上限中小法人等200万円、個人事業主100万円(1回のみ)
 要件 コロナの影響で2020年中のいずれかの月の売上高が前年同月比50%以上減少
 期限 2021年1月15日
 中小企業庁:持続化給付金

大阪府【休業要請支援金】
 対象   大阪府に本店等が所在する中小法人等、個人事業主
 業種   休業要請の対象施設であること
 種類   支援金支給
 金額   中小法人等100万円、個人事業主50万円(1回のみ)
 要件・2020年3月31日以前に開業・設立して営業実態があること
   ・2020年4月の売上高が前年同月比50%以上減少
   ・4/21〜5/6の全期間休業していたこと
 期限 2020年6月20日
 大阪府:休業要請支援金(府・市町村共同支援金)

大阪府【休業要請支援金】
 対象   大阪府に本店等が所在する中小法人等、個人事業主
 業種   休業要請の対象施設でないこと
 種類   支援金支給
 金額   中小法人等(府内に1事業所のみ:50万円、複数:100万円)
      個人事業主(府内に1事業所のみ:25万円、複数:50万円)
      ※どちらも1回のみ
 要件・2020年3月31日以前に開業・設立して営業実態があること
   ・2020年4月、または4月と5月の平均売上高が前年同月比50%以上減少
   ・大阪府「休業要請支援金」の対象でないこと
 期限 2020年6月30日
 大阪府:休業要請外支援金

兵庫県【休業要請事業者経営継続支援金】
 対象   兵庫県に事業所が所在する中小法人等、個人事業主
 業種   休業要請の対象施設であること
 種類   支援金支給
 金額   休業期間に応じて 中小法人等30~100万円、個人事業主15~50万円(1回のみ)
 要件・2020年3月1日以前31日までに創業していること※創業の日付が変更されています
   ・2020年4月または5月の売上高が前年同月比50%以上減少
   ・4/15〜4/21の間に休業開始し、5/6まで継続して休業
    4/22~4/28の間に休業開始し、5/6まで継続して休業
    4/29~5/6まで継続して休業
 期限 2020年6月30日
 ※休業を開始した期間により支援金額が異なる
 ※飲食店等は夜の時間帯(20時~翌5時まで)の営業を行っていた店舗が休業または営業時間を短縮した場合に限る
 兵庫県:休業要請事業者経営継続支援金(県・市町協調事業)

神戸市【神戸市内中小企業チャレンジ支援補助金】
 対象   神戸市内に本社または主たる事務所が所在する中小企業、個人事業主
 業種   すべて(風俗営業等を除く)
 種類   支出した対象となる経費に対する補助
 金額   対象経費の3/4、補助の上限は1申請あたり100万円(1回のみ)
 要件 コロナの影響を乗り越えるための「新たな取り組み」を行うことや売上向上を目指す「販路の開拓」「新商品開発」など
    ※「飲食店が宅配事業を行う」「居酒屋が昼間に弁当販売を行う」
     「衣料品店や観光地のお土産店がECサイトを開設する」
     「テレワークの導入」などが該当
    ※申請日前に既に納品及び支払いをした事業であっても、それが2020年4月1日以降の納品及び支払いであればさかのぼって対象となる
 期限 申請受付:2020年6月8日~6月19日まで6月30日まで※期限が延長されました
 神戸市:神戸市内中小企業チャレンジ支援補助金

宝塚市【事業所等賃料補助金】
 対象 2020年4月1日以前から宝塚市内に事業所を賃借している個人事業主
 業種 セーフティネット保証5号の指定業種
    ※セーフティネット保証5号の指定業種は随時更新されるため、中小企業庁のサイトよりご確認ください。
    中小企業庁:セーフティネット保証(5号
種類 家賃補助
 金額 1箇所あたり上限10万円、2箇所以上は上限20万円(1カ月分のみ)
 要件・2020年3月以降の売上高が前年同月比で20%以上減少
   ・市税等の滞納がないこと
 期限 2020年7月31日
 宝塚市:事業所等賃料補助金

伊丹市【事業所等賃料補助金】
 対象 伊丹市内に事業所を賃借している小規模企業、個人事業主
 業種 セーフティネット保証5号の指定業種
    ※セーフティネット保証5号の指定業種は随時更新されるため、中小企業庁のサイトよりご確認ください。
    中小企業庁:セーフティネット保証(5号
種類 家賃補助
 金額 1事業者上限10万円(1カ月分のみ)
 要件・2020年3月以降の売上高が前年同月比で小規模企業は50%以上、個人事業主は20%以上減少
   ・2020年1月31日までの納期の市税等の滞納がないこと
 期限 2020年7月31日
 伊丹市:事業所等賃料補助金

西宮市【個人事業主への店舗賃料支援】
 対象 西宮市内で店舗を賃借している個人事業主
 業種 卸売行、小売業、不動産業、宿泊業、飲食業、生活関連サービス業、医療業等
    ※店舗内で顧客と直接対面し、商品・サービスを提供するものに限る
 種類 家賃補助
 金額 上限10万円(1カ月分のみ)
 要件・コロナの影響で申請月の前月1カ月4月または5月の売上高が前年同月比20%以上減少※売上減少の比較対象となる月が変更されています
   ・市税の滞納がない、または分納や猶予等の手続きを行う予定であること
 期限 2020年7月31日
 西宮市:個人事業主への店舗賃料支援