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年末調整 配偶者の所得を間違えたらどうなるの?【65】

今年も残すところあと1カ月と少し・・・。
毎年つぶやいていますが、1年ってあっという間ですね〜(^_^)
そして年末ということは、最後のイベント「年末調整」の時期でもあります。
既婚者の場合、年末調整で「配偶者の扶養控除申告書」を適用?される方も多いと思いますが、あれに書かれている「配偶者の所得の見込額」って皆さんどうされていますか?
仕事上よく見かけるのが「所得ゼロ」または「所得100万円」です。

その所得、本当に合っていますか?

いや、配偶者が働いていなくて、本当に所得ゼロなら問題はないのですが、後から「妻はパートに出ているけどそんなに稼いでいないからゼロです」という話を聞くとげっそりします(^_^;)
それではと配偶者の収入を、源泉徴収票や入金額で調べてみると「意外と稼いでいたんやな・・・」となるケースもあったり・・・。

所得100万円と書かれていた場合は、真っ先に「これは年収100万円の間違いではないか?」と疑います。
所得100万円だと、控除を受ける方は配偶者控除はもちろん、配偶者特別控除も満額受けられませんからね・・・。

さて、そのような理由で配偶者の所得を間違えたまま源泉所得税を徴収し、さらには年末調整まで行ってしまった場合はどのような問題があるのでしょうか?

勤め先に届く、扶養控除是正通知

ある日会社に税務署から一通の封書が届きます。
そこには「従業員Aさんの扶養控除に誤りがあるのではないか」「配偶者Bさんの〇年分の所得が超過しているのではないか」という趣旨の文書が記載されています。
通称「扶養控除是正通知」です。

こうなると会社はAさんを呼び出し、配偶者の本当の所得を聞き出して過去の年末調整を再計算する必要が出てきます。
その際は直近3年間の状況も調べてみて、間違っていたら指摘された年だけでなく、間違っていた年すべてについて再計算を行います。
もちろん、扶養が減った場合は納付すべき税額が出てきますので、指定された日までに納付を行います。
この納付すべき税額はAさんが負担すべきなので、次回の給与から毎月の源泉所得税とは別に徴収するか、別途会社に納付額を支払う必要があります。

影響は所得税だけでなく、住民税にも・・・

さらに、会社は再計算して訂正したAさんの給与支払報告書をAさんの住む市区町村へ提出しなくてはならず、その結果Aさんの住民税も過去にさかのぼって増加することがあります。
現在進行中の年度分は、役所より住民税特別徴収額の変更通知が届くので、そのとおりに徴収すれば済みます。
過年度の住民税はAさんの自宅へ納付書が届きますので、Aさんが自分で納付する必要があります。

また、会社が「配偶者が扶養の範囲内であることを要件に」家族手当を支給している場合は、通常であれば返還してもらうことになります。
月1万円でも年間12万円、3年間だと36万円にもなります!

会社の言われるままに書いている配偶者控除の申告書ですが、間違えるとかなりややこしいことになりますね・・・(^_^;)
間違いを税務署に指摘されると会社も手間だし、本人にとっても予定外の支出となりますので、配偶者の控除を受けられる方は、何か資料に基づいて配偶者の所得を把握するようにし、くれぐれも間違いがないようにお気を付けください。