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売掛金の入金をスマホから登録する方法

「やよいの青色申告スマホ版」は「業務の合間に経理を済ませたい!」「経理のために時間を作ることが難しい・・・」という小規模事業者の経理を楽にしてくれる、とてもシンプルなアプリです。

私の事務所でも、以前は領収書を受け取る度にデスクトップ版の弥生会計を立ち上げて入力していました。
しかし、今では先日の投稿にも記載したようにやよいの青色申告オンラインにログインすることは月に1〜2回です。
ログインすると「何だか久し振りに経理しているな・・・」と不思議な感覚を覚えます。

これでオンラインにログインすること自体なくなれば、もっと皆さんの経理を楽にすることができるのですが、まだその段階には至っておりません。

私がオンラインにログインしなければならない理由の半分は残高試算表の確認で、残り半分が売掛金入金の登録です。
このうち、売掛金入金がスマホからでは登録できないのは、単純に収入の科目で「売掛金」が存在しないためです。
売上を計上するときは相手科目で売掛金を使用できますが、入金時に売掛金を使用できないというのはどうなんでしょうかね?

私の事務所でも、売上の発生(依頼が完了)が今月で、入金は来月ということが 多々あります。

それでは売掛金の入金があった場合、スマホで登録するにはどうすればよいのでしょうか?

方法① とりあえずの取引を計上する

入金時に売掛金が使えないなら、他の科目をとりあえず使用し、オンラインにログインしてから訂正する方法です。
具体的には、物の引き渡しやサービス提供が完了した時点で収入は「売上」、取引手段は「売掛金」を計上し、入金時にも収入で「売上」、取引手段で「売掛金」を選択し、摘要に「入金 要訂正」などとメモをしておきます。
そしてオンラインにログインした際に売掛金の取引をチェックし、摘要を見ながら訂正が必要な取引は「売掛金を現預金」に、「売上を売掛金」に変更するのです。

方法② 年末に不足する売上を計上する

年中は入金時に売上を計上し、年末に「今年中に発生した売上で、入金が来年以降になるもの」を足す方法です。
2年目以降は「去年足したものを今年の売上から引いて、今年中に発生した売上で、入金が来年以降になるものを足す」方法となります。
いわゆる「期中現金主義、決算で発生主義に修正」という方法です。
この方法は処理は楽になりますが、入金が遅かったり滞っている取引先があると、決算数値を予想したり正しい売上を計上することが難しくなります。

私としては少々手間でも①の方法をおすすめします
②の方法だと取引先が多くなった場合、未収があっても気付かない可能性があります。
また、売掛金の入金が預金ではなく、現金で回収することがある方はこまめに記録をつけないと必ず計上もれが発生してしまうので、①の方法を選択すべきでしょう。

売掛金の入金はこまめにチェックする必要があります。あまりにも間が空いてしまうと請求が難しくなるケースがあるためです。
また、売上の計上もれは税務調査で指摘され、余分な加算税等を負担することにもつながるので注意しましょう。
いずれにせよ、弥生の開発チームにはより一層の改善を望むばかりです。

未払法人税等がない?

今回は弥生会計オンラインの話です。
弥生会計オンラインの設定で私が最初につまずいた項目に「未払法人税等の残高が登録できない」があります。

法人では必須の科目である未払法人税等がないことにかなり焦りましたが、幸いチャットによる質問ですぐに解決しました。
「科目の設定」で「取引を表示する」にチェックを入れると残高設定の画面で登録できるようになります。
必須の科目なので、最初から登録できるようにしておいて欲しいものですが、どのような方針なんでしょうか?

それはともかく、初めて弥生のチャットによる質問を利用しましたが便利ですね〜。
文字の入力なんて面倒くさい・・・、と思っていましたが、文字に起こすと質問内容がシンプルになりますので、逆にやり取りが早く済みました。

チャットによる質問は画面の右下に出てくる「チャットサポート」のバナーをクリックすれば可能です。
皆さまも是非一度お試しください。

レシートから仕訳を自動計上するソフトは必要?

最近の経理ソフトの傾向として、レシートをスキャンまたは撮影して、そこから仕訳を計上する機能を売りにしているものが出ています。

しかし、この機能を1〜5人規模の個人事業主や法人に適用することに、私は疑問を感じます。

なぜなら、ソフトを起動して「レシートを撮影」し、「読み込んだ内容を確認」して「登録」するという手間をかけるくらいなら、最初からソフトに判断させず、スマホ経理のソフトに「科目」「摘要」「金額」を手動で登録する方が早いからです。

また、スマホ経理のソフトと一体となっているなら仕方がありませんが、別ソフトとして存在するならば、わざわざ少ないスマホの容量を使用してまでインストールする必要性はないでしょう。

電子帳簿保存を適用している会社や証憑類の電子化をモットーとする会社なら、レシートの仕訳計上ソフトは便利だと思います。

しかし、小規模事業者は「経理に時間とお金をかけない」ことが重要なので、必要性が低いものには手を出さないもしくは削ることを考えましょう。

スマホ経理と自動仕訳

最近の会計ソフトは、預金取引を自動で取り込み、仕訳を計上してくれる機能がついています。
ところが先日の投稿で記載したとおり、植田会計事務所の経理は預金の自動仕訳を使っておりません。

自動仕訳の実際

ここでは弥生の「スマート取引取込」を例に説明します。
自動仕訳と表現されますが、実際には人の手がかなり必要とされます。

まず、預金の取引データを用意する必要があります。
自動で口座までデータを読み取りに行くよう設定することもできますが、第二認証のパスワードまで登録しておく必要があります。
口座のパスワード登録に抵抗がある方は、手動で預金の取引データを口座ごとにダウンロードしなければなりません。

次に弥生のスマート取引取込を起動させ、取引データを読み込ませます。
読み込むと、勝手に仕訳を計上してくれます。
この仕訳が正しければ良いのですが、当然間違っている仕訳が出てくるので、仕訳をひとつひとつチェックして訂正する必要があります。

訂正が終わると仕訳を登録します。
この登録は弥生のサーバーを通じて行われるため、少しだけ時間がかかります。

自動仕訳を使うべきか?

このように、弥生の自動仕訳は意外と自動とはいえず、手入力と同じかそれ以上に時間がかかることもあります。

そのため、植田会計事務所では預金の自動仕訳は採用していません。
取引の大部分はスマホ経理で処理できるため、数少ない取引をわざわざ自動仕訳で処理する必要がないのです。

では逆に、どのような口座は預金の自動仕訳を使うべきでしょうか?
それは次のような口座です。
①日々の取引量が多い口座
②取引のパターンが一定の口座

①の日々の取引量が多い口座については、確かにチェックや訂正の手間はかかります。
しかし、仕訳を計上する手間を省けるというメリットがそれらの手間を上回るならば採用する価値があります。

②の取引のパターンが一定の口座は、取引量が少なくても訂正の手間が少なくなるため採用する価値があります。

自動仕訳は単純作業の省略に威力を発揮します。
上記①や②に該当する方は、ぜひ一度自動仕訳を試してみてください。

植田会計のスマホ経理

植田会計事務所のようなサービス業がスマホ経理をどのように行っているかお伝えします。

まず、日常の経費は領収書を受け取ると、移動の合間か事務所に戻ってから「やよいの青色申告スマホ版」を起動して登録します。
現金で支払った経費は取引手段「現金」を選び、個人のクレジットカードで支払った経費は取引手段「クレジットカード(個人用)」を選択して登録します。

売上は、スポットの案件は仕事が完了する都度、毎月の顧問料は1日に取引手段「売掛金」で登録します。

預金は通帳を記帳する都度、費用や生活費の引き出しは取引手段「普通預金(〇〇銀行〇〇支店)」で登録します。

ただし、売掛金の入金はスマホからではなく、PCから行います。
これは入金で選択できる科目に「売掛金」がないためです。

月に1〜2回PCからやよいの青色申告オンラインを開き、スマホからは入力できない取引を登録したり、残高試算表をの金額をチェックします。

これで終わりです。
便利な世の中ですね。
1〜5人くらいの個人事業なら、税理士に頼ることなく経理が可能ですね。

もしチェックに自信がないようでしたら、チェックだけ税理士に任せてはいかがでしょうか?
1年間、12カ月関与させるのではなく、半年に1回(7月と2月など)チェックしてもらうだけなら報酬も安く済ませられるはずです。
個人事業で規模が小さいうちは「経理に時間とお金をかけない」を心がけましょう。

スマホ経理の注意点

やよいの青色申告スマホ版を使用してから2カ月が経過しました。
経理がスキマ時間にできる!という大きなメリットもありますが、やはりスマホでは限界があるな〜と思わせる点もあります。

1 残高試算表が見られない
これは経理に慣れている方なら「あり得ない!」問題点かもしれません。
自分が入力した結果、残高試算表にきちんと反映されているか・・・。
経理担当者なら必ず気になるところです。
しかし、スマホからでは確認できません。
確認するにはPCから「やよいの青色申告オンライン」にログインすることが必要になります。

2 使える科目に制限がある
選択できる科目があらかじめ決められており、それ以外の科目を追加することはできません。
選択できない科目を使われている方は、他の科目を使用するか、とりあえず仮の科目を選択し、後からオンラインで科目を訂正しなければなりません。

3 補助科目が選択できない
これもまた「あり得ない!」問題点です。
補助科目を選択するには、1と同様オンラインで行う必要があります。

いずれもデスクトップ版で抜きん出ていた弥生会計の使いやすさからは信じられないような問題点ばかりで、最初は「このまま弥生を使い続けて良いのか・・・?」と不安になるほどでした。

しかし、よく考えてみればこれらの問題は会計事務所や経理に慣れた方だからこそ気になるのであって、本業に忙しい個人事業主の方やまだまだ経理に慣れていない方は問題と感じないはずです。
むしろ内容がシンプルなので、迷うことが少ないのではないでしょうか?

また、確かに残高試算表はスマホから確認できませんが、登録した取引を仕分日記帳の形式で確認することはできます。
普段は売上や経費を都度登録し、週末や月末にPCから残高をチェックしてはいかがでしょうか?

私が到達した結論は、
「どこでも経理ができるというメリットを活かすため、経理のやり方を変えてみよう!」
です。
なかなか経理に時間が取れないと悩まれている方は、ぜひ一度スマホの経理にチャレンジしてみてください。