月別アーカイブ: 2017年11月

領収書の精算方法について悩んでませんか?

こんにちは!外注せずにご自身で経理を行いたい方をサポートする宝塚の会計事務所、「じぶんで経理」植田会計事務所です。

今回は領収書の精算方法についてです。

事業を行う上で必ず発生するものが「費用の支払い」です。
個人事業主で貸借対照表を作成していない方なら支払った費用の金額を集計するだけで良いのでしょうが、これが法人の費用となると話が違います。
なぜなら、法人は必ず費用を支払う「出処」を明らかにしなければならず、貸借対照表の項目が変動するからです。

例えば、文房具を100,000円で購入した場合。
貸借対照表を作成しない個人事業主なら「消耗品費 1000,000円」とするだけです。
一方、法人は「消耗品費 100,000円」までは同じですが、その文房具を「現金で購入したのか」「銀行振込みで購入したのか」「社長や従業員が立て替え払いして購入したのか」またはそれ以外の方法で購入したのかまで決まらないと費用の計上ができません。
そして、現金で購入したなら貸借対照表の現金残高が100,000円減少し、銀行振込みで購入したなら預金残高が減少し、社長や従業員が立て替え払いして購入したなら借入金が増加するのです。

精算を怠ると貸借対照表が不自然な形になる

領収書の精算を行っていない場合、どんな影響があるのでしょうか?
費用の支払いを続けていると当然手持ちの現金がなくなってくるので預金口座から現金を引き出して補充します。
すると、引き出すごとに現金残高が増えていき「現金残高が異常に多い」貸借対照表が出来上がります。

または、社長や従業員が立て替えて払った費用を「現金で支払った」ものとして処理し続けた場合、費用を計上するごとに現金残高が減っていき「現金残高がマイナス」の貸借対照表が出来上がります。

意外に思われるかもしれませんが、経理経験者でない方が作成した貸借対照表の現金残高が「異常に多い」または「マイナスとなっている」ものは比較的よく見られるものです。

領収書の精算方法は一定のルールを決めるべき

それではどのような方法で領収書を精算すればよいのでしょうか?
ポイントは領収書を精算する「一定のルール」を決めることです。

例えばこのようなルールはいかがでしょうか?
①毎月1日から末日までの日付の領収書を一つのクリアファイルに集めておきます。
②翌月にクリアファイル内の領収書金額を集計します。
③集計した金額と同額を預金口座から引き出して精算します。

なお、精算は1カ月に1回とは限らず、2〜3回に増やしても良いでしょう。

また、上記②の集計のタイミングで旅費交通費や交際費といった科目ごとに分けることで、一カ月分の領収書を一気に費用処理することも可能です。

領収書の精算は経理を行う上で避けては通れない問題です。
自社に合った精算方法はどのようなものなのか。
みなさまも一度チェックしてみてください。

またまたスマホから残高試算表を確認する方法

こんにちは!外注せずにご自身で経理を行いたい方をサポートする宝塚の会計事務所、「じぶんで経理」植田会計事務所です。

スマホからやよいの青色申告オンラインにログインして残高試算表を確認する・・・。
基本的にやよいの青色申告オンラインはデスクトップPCからの使用を前提としており、スマホからログインしても画面表示がうまくできず使い物にならないことは既にお伝えしているとおりです。

しかし、経理をスマホから行っているのなら、残高試算表の確認も、できることならスマホから行えた方が便利ですよね?
なので、今回はスマホからやよいの青色申告オンラインにログインし、残高試算表を確認できる方法の紹介です。

試算表のダウンロード

まずはスマホから「弥生マイポータル」にアクセスし、メールアドレスとパスワードを入力してログインします。
起動する製品名を聞かれるので「やよいの青色申告オンライン」を選択。
(なお、このときにスマホが縦向きだと表示されにくいので、横向きでも表示できるよう画面のロックを解除しておくと便利です)
次にメインメニューの中の「レポート・帳簿」から残高試算表を選択すると「帳票ダウンロード」というボタンがあるのでクリック。
帳票ダウンロードから「PDFダウンロード」を選択すると、残高試算表がPDFの状態で表示されるのです。
少々面倒な方法ですが、これでなんとかスマホから残高試算表を確認することができます。
もちろんこの残高試算表をPDFの状態で保管したり印刷することが可能です。

売上や利益をスマホから確認

スマホから残高試算表を確認できるということは、単なる経理の利便性向上を意味しているわけではありません。
リアルタイムで売上や利益を把握することで、経営計画の進捗も確認できるのです。
経営計画についてはまた別の機会にお話ししますが、自社の成績を「リアルタイム」に「数字」で確認できるということがどれだけ有益なことかはご理解いただけるのではないでしょうか?
売上が自分の計算よりも少ないならさらなる営業活動を行い、利益が予想よりも多いなら決算対策を考える、といった行動が早めにスタートできます。
また、明らかに数字がおかしい場合も、早い段階で修正に取りかかれます。(これが2〜3カ月も空くと、忘れて修正の必要性すら感じなくなっているかもしれませんね…)

いかがでしょうか?
みなさんも興味を持たれたらぜひスマホからの残高確認をお試しください。

 

ついにスマホでの確定申告が可能になります

ついにスマホでの確定申告が可能になります

こんにちは!外注せずにご自身で経理を行いたい方をサポートする宝塚の会計事務所、「じぶんで経理」植田会計事務所です。

少し前の記事ですが、日本経済新聞の記事によると、国税庁は2019年1月からスマホを使って確定申告ができるよう、現在の確定申告システムの刷新を行うこととなりました。

これまでも申告書を作成する段階まではできましたが、データを送信することはできず、入力内容を紙に印刷して提出する必要がありました。
(ちなみに青色申告決算書や譲渡の明細は入力できず、別途紙媒体で作成する必要があります)
しかし、今回の刷新はこのような手間をかけず、スマホに入力した内容をそのまま送信して申告できるようにするものです。

システム刷新の背景に「作業の効率化」

この刷新の背景には「副業の広がりで確定申告が必要な人が増えているため〜」とありますが、本当の理由は違うはずです。
私は「税務署の作業効率を上げるため、e-TAX(電子申告)をより普及させるべくスマホにも対応する」が本当の理由と考えます。
実際に税務署の方も「税務署はギリギリの人員で運営されているので、さらなる作業効率の改善のためe-TAXの普及をお願いします」と事あるごとに訴えているのが現状です。

税務署の人員がギリギリかどうかは不明ですが、国の方針として税務申告の電子化を推進していることは確実です。
最初はまるで使い物にならなかったe-TAXも、今では紙で申告することが考えられないほど便利なインフラとなりました。
きっとスマホでの申告も、最初は不具合のオンパレードで「あんなものは使えない」と選択肢から外してしまう方も出てくるでしょう。
しかし、惑わされてはいけません。
必ず!確定申告=スマホがあたりまえ、という世の中になります!

今のうちからスマホ経理に慣れておくこと!

なので、私は今からスマホでの経理に慣れておくことをお勧めします。
スマホからの申告ができるのに、経理はデスクトップPCで行うというのは効率的ではありませんよね?
今は紙で作成せざるを得ない青色申告決算書なども、流れからいくとスマホでの作成もできるようになるはずです。
(おそらく技術的には決算書なども作成できるはずですが、まだ国税庁側にそれらのデータを受け入れるだけのキャパがないのでしょう)

何度もお話していることですが、小規模企業の経理原則は「手間」と「お金」をかけないことです。
スマホ経理とスマホ申告を身に付けて、手間をかけない経理を目指してください。

個人事業主は12月までに10カ月分の経理を終わらせておくべき!

こんにちは!外注せずにご自身で経理を行いたい方をサポートする宝塚の会計事務所、「じぶんで経理」植田会計事務所です。

前回は「年明け経理はリスクがいっぱい!」というタイトルで、消費税にかかわるリスクについてお話ししました。
消費税のリスクは非常に大きく、届出一つで税額が大きく変わってきます。
あってはならないことですが、我々税理士がやってしまうミスの多くがこの消費税関係です。

以前ある会社が消費税の課税事業者に該当するかどうか、他の税理士事務所にアドバイス差し上げたことがあります。
非常にややこしい判定で、一見すると免税事業者と判定してしまいそうでしたが、結果は課税事業者に該当しました。
ところが申告書提出後、管轄の税務署から「免税事業者に該当する」との連絡が来ます。
口頭で説明しても「課税事業者に該当するのでもう一度確認してください」との一点張り・・・。
免税事業者にならないことは分かっていたので、税務署に対し税務署が作成したパンフレットを使用して判定の経緯を説明すると、最終的には税務署にも納得していただきました。

この出来事からも分かるように、消費税の制度は税務署ですら判定を間違えるほど複雑になっています。
それほど複雑な制度を一般の方が理解して判断を続けていくことは無理があるように私は思うのです。

話が脱線しましたが、年明け経理のリスクについて、話を続けます。

税金は事業から発生するものだけではない

年明けに経理を済ませて税金が確定。
ホッとして事業主の方とお話ししていると「そういえば車を買い換えたんだけど、関係なかったよね?」と一言。
・・・私用の車なら関係ないのですが、大部分を事業の用に供している車だったので、税金の計算はやり直しになります。
買い換えで下取りに出した車は中古でも価値の下がりにくい車種なので譲渡所得が発生し、かつ、消費税もかかってきます。
そうなると、納税の資金繰りを計算し直さなければなりません。

また、生命保険の満期保険金があったり、所有する土地に広告看板が設置されて不動産収入があったりしても所得税は変わってきます。

さらに、ご本人にそのつもりはなくても名義をお子様にしたため、贈与税が発生してしまうケースも見受けられます。

個人事業主は12月までに10カ月分の経理を終わらせておくべき

ご紹介したケースは、いずれも「気付かなくても仕方ない」ケースと思います。
税金の仕組みは複雑で、個人事業主の方が日常の業務をいちいち税金と結び付けているとは考えられないからです。
だからといって、税金が免除されるわけではありませんが・・・。

それでは、個人事業主の方はどのようにすれば様々な税金リスクから身を守ることが出来るのでしょうか?

私は「とにかく10カ月分の数値を集計しておく」ことをお勧めします。

これは法人にも言えることですが、ほとんどの税金には「期間」が決められています。
所得税や贈与税なら毎年1/1〜12/31が所得や贈与額を計算する期間ですし、法人なら通常は期首から1年を経過する日(決算日)が利益を計算する期間です。
この期間を超えてしまうと新たな計算がスタートしてしまうので、何か対策を取ろうとすると、その期間内に行動する必要があります。

さて、対策を取るには今年度の利益がいくらくらいなのか把握する必要があります。
固定費が費用のほとんどを占めるようでしたら売上でほぼ利益は決まります。
しかし、変動費が多くを占める場合は実際に集計してみないと利益を把握することは困難です。

売上や費用を集計していない状態で経営者の方に「今期の利益はいかがですか?」と尋ねても、回答は経営者の性格に大きく左右されます。
楽観的な方は大体「前期と同等以上」、保守的な方は「前期より少なめ」と回答されます。

そこで、10カ月分の数値を集計しておくことが重要になります。
売上は集計しやすいと思いますので全てを、逆に費用は細かいところまでは求めません。
例えば、現金払いの細かい費用は後回しにして、振込や口座振替などの分かりやすいものを集計してしまいます。

そうして10カ月分の利益が出てきたら、残り2カ月の売上や費用を差し引きして決算予想を出すのです。
個人事業主の12月頃ならば、11月の売上と費用は出そろっているでしょうし、12月の売上と費用も大体検討がつくはずです。
法人も同様のやり方です。

これが出来るかどうかで変わるのは税額だけではありません。
資金繰りも変わってきます。
資金力の弱い小規模事業者にとって怖いのはスポットの支払いです。
中でも税金はスポットの支払いの中でも金額が大きく、影響の強いものとなります。
あらかじめ2〜3カ月後に税金の支払いがあることが分かっていれば対策の取り様もありますが、申告直前に分かっても打つ手はほとんどありません・・・。

今まで年明けに経理を行なっていた個人事業主の方や決算後に経理を行なっていた経営者の方は、一度「10カ月経理」をお試しください。
きっと、決算前にやるべきことが見つかるはずです。

年明け経理はリスクがいっぱい!

早いもので、今年も残すところあと2カ月となりました。
つい先日まで「暑い!暑い!」と言っていたような気がしますが、最近は朝晩が寒くてもう一枚上着が欲しくなりますね・・・。

さて、われわれ会計事務所の業界ですが、だいたい11月頃から繁忙期に入ります。
繁忙期の内容は次のようになっています。

11月 お客様に対し年末調整と確定申告の資料提供のお願い
12月 年末調整及び個人事業主のお客様の決算予想
1月 法定調書や償却資産の申告、還付申告の場合は確定申告の開始
2月 還付以外の確定申告や贈与税の申告開始
3月 確定申告終了

このように、3月15日の確定申告最終日まで会計業界はノンストップでバタバタと過ごします。
(さすがにお正月だけは休みますが・・・)
会計事務所にとって確定申告はその年のビッグイベントなので、最終日を迎えると「今年もやり遂げたぞ〜」という達成感に満たされるものです。

・・・満たされるのですが、それと同時にいつも「危ないな〜」と私が感じていることがあります。

個人事業主の方は経理をいつ頃からスタートしていますか?

毎月経理をコンスタントに行っている方は何の問題もありません。
業種にもよりますが3カ月〜半年に一度という方もおそらく大丈夫でしょう。
しかし、実際には大多数の方が「年が明けてから」経理をスタートしているのではないでしょうか?
この、年が明けてから経理をスタートするという方法はかなりリスクがあります。
それは「気付いた時には既に手遅れ」という会計業界の人間にとっては絶対に避けたいリスクです。

リスク1     ギリギリ消費税の課税事業者になってしまう!

今までは売上が900万円台で推移していたが、去年はたまたま売上が1,000万円をギリギリ超えてしまった・・・、というケース。
同じ1,000万円の売上でも、消費税の課税事業者なら1,000万円×8/108=74万円が発生します。
ここから支払った消費税を控除するのですが、半分控除できたとしても37万円納付することになります。
ギリギリ1,000万円を超えたために多額の納付を行うくらいなら、少し仕事を休むか値引きすべきでした。
しかし年が明けてから気付いても、既に手遅れです。

また、既に課税事業者となっている場合でも消費税は年々取り扱いが複雑化しているので、「年が明けてから〜」なんてのんびり構えていると思わぬ事態になる可能性があります。

話が長くなってきたので、続きはまた次回にお話しします。