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レシートから仕訳を自動計上するソフトは必要?

最近の経理ソフトの傾向として、レシートをスキャンまたは撮影して、そこから仕訳を計上する機能を売りにしているものが出ています。

しかし、この機能を1〜5人規模の個人事業主や法人に適用することに、私は疑問を感じます。

なぜなら、ソフトを起動して「レシートを撮影」し、「読み込んだ内容を確認」して「登録」するという手間をかけるくらいなら、最初からソフトに判断させず、スマホ経理のソフトに「科目」「摘要」「金額」を手動で登録する方が早いからです。

また、スマホ経理のソフトと一体となっているなら仕方がありませんが、別ソフトとして存在するならば、わざわざ少ないスマホの容量を使用してまでインストールする必要性はないでしょう。

電子帳簿保存を適用している会社や証憑類の電子化をモットーとする会社なら、レシートの仕訳計上ソフトは便利だと思います。

しかし、小規模事業者は「経理に時間とお金をかけない」ことが重要なので、必要性が低いものには手を出さないもしくは削ることを考えましょう。

スマホ経理と自動仕訳

最近の会計ソフトは、預金取引を自動で取り込み、仕訳を計上してくれる機能がついています。
ところが先日の投稿で記載したとおり、植田会計事務所の経理は預金の自動仕訳を使っておりません。

自動仕訳の実際

ここでは弥生の「スマート取引取込」を例に説明します。
自動仕訳と表現されますが、実際には人の手がかなり必要とされます。

まず、預金の取引データを用意する必要があります。
自動で口座までデータを読み取りに行くよう設定することもできますが、第二認証のパスワードまで登録しておく必要があります。
口座のパスワード登録に抵抗がある方は、手動で預金の取引データを口座ごとにダウンロードしなければなりません。

次に弥生のスマート取引取込を起動させ、取引データを読み込ませます。
読み込むと、勝手に仕訳を計上してくれます。
この仕訳が正しければ良いのですが、当然間違っている仕訳が出てくるので、仕訳をひとつひとつチェックして訂正する必要があります。

訂正が終わると仕訳を登録します。
この登録は弥生のサーバーを通じて行われるため、少しだけ時間がかかります。

自動仕訳を使うべきか?

このように、弥生の自動仕訳は意外と自動とはいえず、手入力と同じかそれ以上に時間がかかることもあります。

そのため、植田会計事務所では預金の自動仕訳は採用していません。
取引の大部分はスマホ経理で処理できるため、数少ない取引をわざわざ自動仕訳で処理する必要がないのです。

では逆に、どのような口座は預金の自動仕訳を使うべきでしょうか?
それは次のような口座です。
①日々の取引量が多い口座
②取引のパターンが一定の口座

①の日々の取引量が多い口座については、確かにチェックや訂正の手間はかかります。
しかし、仕訳を計上する手間を省けるというメリットがそれらの手間を上回るならば採用する価値があります。

②の取引のパターンが一定の口座は、取引量が少なくても訂正の手間が少なくなるため採用する価値があります。

自動仕訳は単純作業の省略に威力を発揮します。
上記①や②に該当する方は、ぜひ一度自動仕訳を試してみてください。

植田会計のスマホ経理

植田会計事務所のようなサービス業がスマホ経理をどのように行っているかお伝えします。

まず、日常の経費は領収書を受け取ると、移動の合間か事務所に戻ってから「やよいの青色申告スマホ版」を起動して登録します。
現金で支払った経費は取引手段「現金」を選び、個人のクレジットカードで支払った経費は取引手段「クレジットカード(個人用)」を選択して登録します。

売上は、スポットの案件は仕事が完了する都度、毎月の顧問料は1日に取引手段「売掛金」で登録します。

預金は通帳を記帳する都度、費用や生活費の引き出しは取引手段「普通預金(〇〇銀行〇〇支店)」で登録します。

ただし、売掛金の入金はスマホからではなく、PCから行います。
これは入金で選択できる科目に「売掛金」がないためです。

月に1〜2回PCからやよいの青色申告オンラインを開き、スマホからは入力できない取引を登録したり、残高試算表をの金額をチェックします。

これで終わりです。
便利な世の中ですね。
1〜5人くらいの個人事業なら、税理士に頼ることなく経理が可能ですね。

もしチェックに自信がないようでしたら、チェックだけ税理士に任せてはいかがでしょうか?
1年間、12カ月関与させるのではなく、半年に1回(7月と2月など)チェックしてもらうだけなら報酬も安く済ませられるはずです。
個人事業で規模が小さいうちは「経理に時間とお金をかけない」を心がけましょう。