早期経営改善計画の推進に水を差す不正行為・・・

こんにちは!外注せずにご自身で経理を行いたい方をサポートする宝塚の会計事務所、「じぶんで経理」植田会計事務所です。

早期経営改善計画をご存じですか?


最近、
早期経営改善計画策定支援事業に関するセミナーのFAXが頻繁に届きます。
今まで「早期」の付かない経営改善計画の策定支援事業は行ったことがありますが、早期経営改善計画は未経験なんですよね・・・(^_^;)

名前は似ていますが早期経営改善計画と経営改善計画の違いは「金融支援の有無」にあります。

私が行ってきた経営改善計画は、借入を行っている金融機関から返済条件を緩和してもらうこと(リスケ)などを目的として作成されるものです。

これに対し早期経営改善計画は金融支援を目的とせず、自社の経営課題や資金繰りなどを把握し、問題があれば早期に対応できるようになること(現状把握)を目的とします。

どちらも策定する際に税理士など認定支援機関のサポートを受けることができ、それにかかる費用の2/3を国が補助してくれます。
なお補助の上限は経営改善計画が200万円早期経営改善計画が20万円となっています。

経営改善計画は外科手術、早期経営改善計画は予防運動

どちらが重要というわけでもありませんが、私としては早期経営改善計画を策定することをお勧めしています
というのも、個人事業主・小規模企業はもともと資金力や人的資源が少ないなか事業を行っています。
そのような状況で大事なことは事業継続が困難となるような危機的状況を起こさないことです。

ある程度の規模の中小企業や大企業なら1~2度の失敗でも危機的状況には陥りません。
しかし、個人事業主や小規模企業にとってはたった1度の失敗が即危機的状況と成り得ます
経営改善計画はそんな危機的状況を打開するために策定する外科手術的なものであり、内容も金融機関を納得させられるだけの完成度とスピードが求められます。

これに対し早期経営改善計画はその名のとおり、早い段階で自社の現状を把握し、将来の危機を予見して回避するための予防運動です。
作成した早期経営改善計画は金融機関にも提出し、情報を共有することができます。
今まで決算書しかやり取りする機会を持たなかった金融機関に自社の現状や将来の展望、課題を報告し、アドバイスをもらえるきっかけともなります。

個人事業主・小規模企業をサポートする植田会計事務所が早期経営改善計画をお勧めする理由はここにあります。
・・・未経験で偉そうにお話ししても説得力がないので、これからはもっとお客様に早期経営改善計画を推進するよう努力します!

恐れていた認定支援機関による補助金不正受給・・・

そんな早期経営改善計画ですが、先日ガッカリするニュースがありました。

2018年6月22日、経済産業省は早期経営改善計画策定支援事業による補助金を不正に受給したとして九州の税理士に対し、補助金交付等停止措置を行いました。

日本税理士会からもコメントが出ています。

認定支援機関による計画策定事業の報酬は、
1.依頼者が認定支援機関に費用の1/3を支払い
2.認定支援機関が国(支援センター)に残りの2/3を請求
3.国から認定支援機関に費用の2/3が支払われる
という流れで行われます。

先述したとおり、この早期経営改善計画策定支援事業は「認定支援機関に支払う費用の一部を国が補助するもの」であり、計画策定を支援される依頼者がまず費用の一部を負担することが絶対条件です。

国が全額負担してしまうと、依頼者も「どうせタダだし〜」と真剣に取り組まない可能性も考えられます。
いわば依頼者の「覚悟」「決意」を示してもらうため、全額負担にはしていないと私は考えています。

ところで、認定支援機関が国に費用の補助を申請する際は依頼者に交付する領収書のコピーを添付する必要があるのですが、受け取っていない費用の領収書を発行していたということでしょうか?
それとも毎月の顧問料の一部を計画策定事業の報酬としていたのでしょうか?(これは明確に禁止されていますよね・・・)

いずれにせよ、補助金・助成金といった「もらえるお金」の申請はかなり慎重に行う必要があります
「もらった」その後も会計検査院はその補助金等の支給が適切だったかチェックを行っています。

最近は「あなたも補助金がもらえます」「簡単に助成金を申請できます」といった補助金ビジネスが流行っているようですが、実際にはそんなに甘いものではないということをお客様だけでなく我々認定支援機関も肝に銘じておく必要があります。

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